道具について(オーブン・ミキサー類)
【オーブンについて】
ガスオーブンと電気オーブンの違いは?
オーブンには大きく分けてガスオーブンと電気オーブンの2種類があります。
ガスオーブンは火力が強く、短時間で焼くことが出来ます。そのため、パイのような一気に焼き上げるお菓子やお料理に向いています。また、ガスは燃えると水蒸気が出るので、しっとりつやのある焼き上がりになります。庫内に水分が多いと焼き色がつきにくくなるため、チーズケーキやプリンなど、表面に焼き色をあまりつけたくないお菓子にも向いています。
電気オーブンは、温度調整がしやすいので失敗が少なく初心者に使いやすいオーブンです。火力が弱いのでガスオーブンに比べると焼き時間が長くなります。ロール生地やスポンジ生地など、やわらかい火力でじっくり焼くお菓子に向いています。ただ庫内が乾燥しやすいのが難点です。
生地の表面は焼けているのに中が生焼けになってしまう理由は?
家庭用オーブンで高さのある生地を焼いた時、表面は焼けているのに中が生焼けという失敗談をよく聞きます。
オーブン内で生地が焼ける仕組みは、生地の底から上に向かって熱が入り、生地の中の余分な水分を蒸発させて上面へ押し出されることで生地がふくらみ焼きあがります。中が生焼けになってしまうのは、生地の中の水分を外へ出しきらないうちに、表面が焼けてしまうのが原因です。表面が乾燥して焼き色がついてしまうと、生地の中の水分は外に出にくくなり、行き場のなくなった水分が真ん中にとどまるため、中が生焼けになってしまうのです。表面に焼き色がついてしまった生地は、残念ですが、表面をアルミホイルで覆って焼いたとしても中まで火は通りません。どんどんまわりが乾燥し、水分の出口がなくなってしまうからです。
オーブンを上手に使いこなすには?
このような失敗を防ぐためには、オーブンの特性を理解することが大切です。
①庫内温度を出来るだけ下げない
家庭用オーブンは庫内が狭いため、扉を開けると一気に温度が下がってしまいます。温度が下がってしまうと焼成時間が長くなり、生地の表面が乾燥しやすくなります。
少しでも庫内温度を下げないためには、焼く前の生地温度をできるだけ温かい状態にすることがポイント。使用する卵は常温、レーズンや栗など生地に混ぜる副材料も事前に常温にもどしたものを使う、天板も予熱の時からオーブンに入れておく・・・など、庫内温度を下げないように工夫することが大切です。
②迷った時は下段で焼成
天板を入れる箇所が上段・下段とあった場合、上段に入れると表面に早く焼き色がついてしまうので、まず下段に入れて焼成し、ある程度生地が浮いてきたら上段に移すようにしましょう。生地の中の水分を逃がすこと、表面の乾燥を防ぐことが重要です。
天板を入れるところが1箇所しかない場合、さらに庫内が狭い場合はどうしても表面に焼き色がつきやすくなります。その場合、生地の表面に霧吹きで水を吹いて焼成すると表面が乾きにくくなります。シュー生地を焼く時に霧吹きで水をふきかけるのと同じことです。
③型の種類によって設定温度を変える
長さが15cmくらいあるパウンド型やジェノワーズ型を使う場合は、焼くのに時間がかかり、高温で焼くと表面が先に焼けてしまうため少し温度を下げて、生地の中の水分がしっかり外に出るまでじっくり焼いていきましょう。
最近よく見かけるシリコン製の型を使う場合はアルミ型やステンレス型よりも熱伝導性が悪いので10℃くらい温度を高く設定して焼成しましょう。
【ミキサーについて】
ハンドミキサーを選ぶポイントは?
ハンドミキサーは、生クリームの泡立て、卵の泡立て、メレンゲの泡立てに使います。どの場面でも大切なのはボールを斜めに傾けて、中身が羽根にかかるようにすること、そして中身が同じ泡立て程度になるように、全体をかき混ぜることがポイントです。
生クリームを泡立てる時は、まず六分立てくらいに泡立てたら一度冷蔵庫に入れます。ハンドミキサーの熱がクリームに伝わり、クリームの温度も上昇しています。少し冷蔵庫で冷やしたら、あとは手で泡立てるのがベストですね。
卵を泡立てる時、はじめは中速で泡立て、細かい泡が出てきたら高速で泡立てていきます。ちょうど良い泡立て状態になったら、泡のきめをそろえるために低速で1~2分泡立てましょう。
メレンゲを泡立てる時は、はじめから糖分を入れすぎてしまうと泡立ちにくいので、高速で泡立てて五分立てくらいになったら糖分を加えてさらに泡立てていきましょう。