高脂肪クリーム
ここでは脂肪分が高いクリーム(50%以上)の使い方・ポイントをご説明いたします。
◆高脂肪のクリームを使う理由
たとえば苺のムースや苺風味のシャンティを作る場合、苺の味が前面に出て欲しいですよね。
その場合には、風味が優しく食感が軽い低脂肪タイプのクリームを合わせます。
高脂肪のクリームはその逆で、たとえば生キャラメルのように、クリームの味を前面に主張したお菓子には、やはり乳の風味が強く、食感の重たい高脂肪タイプのクリームを使います。
◆クレーム・ドゥーブル(乳脂肪分50%)を使う理由
洋菓子店では、煮詰めて作るフルーツソースやアングレーズ、カスタードを仕込む時、その時パティシエが目指している味がクリームを前面に出したい場合、クレーム・ドゥーブルを使います。
クレーム・ドゥーブルは、風味も濃度も普通のクリームより濃く、分離しにくいという特長を持っています。
使い方は2つの方法があります。
最初から混ぜて炊きあげる方法と、炊きあげてからクリームとクレーム・ドゥーブルを一緒にホイップしたものを混ぜ合わせる方法です。
クレーム・ドゥーブル自体、加熱によって濃縮させたクリームですから、最初から入れて炊きあげる方法でも分離したりせず扱いやすいのです。
また、バターの代わりにクレーム・ドゥーブルを使う場合もあります。
バターよりも食感が軽く仕上がり、風味もさっぱりしているため、優しい味のフレッシュフルーツの特長を生かした洋菓子などを作りたいときに使います。
◆スーパーフレッシュクリーム(乳脂肪分50%)を使う理由
スーパーフレッシュクリームは乳脂肪分50%という点ではクレーム・ドゥーブルと同じですが、フレッシュクリーム45%と同様のシャンティなどに使うクリームです。
50%と非常に高脂肪な上、安定剤などの添加物も植物性脂肪も含んでいない純粋なクリームですから、プロでも取り扱いにとても気をつけなければならないクリームだと言えます。
ホイップするときは出来るだけ1リットルくらいの多い量で、クリームの温度も室温も道具の温度もしっかり下げて、氷水を当てて泡立てます。柔らかく泡立ってきたらいったん冷蔵庫でボールごと冷やし、使う直前にまた泡立てます。ビスキュイにサンドしたらまたいったん冷やし、全体にナッペしたらまた冷やし、最後にデコレーション
ここまで気を遣うのは、やはりこのクリームが非常に貴重なクリームで、お客様にはベストな状態で味わって欲しいからです。スーパーフレッシュクリームのようなプレミアム製品は、特別なお菓子を作るときに使います。そして最初の1口目にまずクリームが味わえるような、たとえば、クリームにこだわったショートケーキやロールケーキのような洋菓子に使います。
ホイップするには非常に気を遣うクリームですが、ホイップしないで使える、クレームブリュレやパンナコッタに入れたり、コーヒーやオレンジのゼリーに全体の量の1~2割程度入れて作ると、食べた時、最後に口の中にクリームの風味が広がって、「あっ、クリームの味があって美味しい!」と思わせるお菓子を作ることが出来ます。
◆中沢クロテッド(乳脂肪分63%)を使う理由
クロテッドクリームはイギリスやその植民地だった国などでしかなかなか使われていないクリームですね。乳脂肪分63%といえば、液状のクリームと固形のバターのちょうど中間くらいなのでとてもデリケートな状態です。クロテッドを開封してすぐの時はトロ~っとしているけど、そのまま置いておいたり、混ぜたりするとあっという間に固くしまってきます。
今回はがんばってデザートのレシピ(下記参照)を作ってみましたが、これをお菓子の材料として使うのはプロでもなかなか難しいです。
なぜなら、クロテッドの美味しさはクリームともバターとも違う、なめらかで柔らかい食感とコクにあるのに、お菓子にしてしまうとその最も美味しい状態をずっと維持するのが難しいからです。だから家庭で食べる場合にはやっぱりそのままを味わうのが1番。
お薦めの食べ方は柔らかいクロテッドを苺等のフルーツや焼き菓子に付けて食べる。
それと個人的には善哉にそのまま落としたり、「善哉トースト」もおいしいです。
トーストの上に小豆あんとクロテッドをのせてぱくっと食べる。
最初から小豆とクロテッドを混ぜずに、口の中で小豆あんとクロテッド、トーストが溶け合うのをぜひ味わってみてください!
「中沢クロテッド」を使ったお菓子
【Gratin clotted】
(材料)
※小ココット5個分 もしくは薄めの小グラタン皿6枚分(作り方)
果実を取り終えたら残った皮を手で絞り、果汁をかけておく
※ハンドミキサーを使用する場合、湯せんにかける前にある程度泡立ててから湯せんにかける