ムース&ババロア

今回のテーマは、クリームをたっぷり使った「ムース&ババロア」です。
クリームの泡立て加減によって食感が変わってきますので、作り方のポイントをしっかりマスターしましょう!この季節にぴったりの、いちごやオレンジを使った簡単レシピもご紹介します。

■ムースについて・ババロアについて

ムース

生クリームを泡立ててイタリアンメレンゲを加え、味付けにピューレなどを加えたものがムースです。時代とともに美味しさが重視され、メレンゲを使用する量がだんだん減っていき、最近は生クリームとピューレのみで作るムースが主となっています。ただ現在でもカシスやフランボワーズなど味の濃いムースを作る時にはメレンゲを使うことが多いです。

ババロア

ドイツのババリア地方が発祥で、牛乳を濃くしたもの(生クリームに近い)にハーブと砂糖を混ぜて作ったあたたかい飲み物がもとになっています。
昔ながらのババロアは、牛乳、卵、砂糖で作ったカスタードゼリーにホイップしたクリームを混ぜ合わせていました。カスタード液が温かいうちに泡立てたクリームを混ぜるとクリームが浮いてうまく混ざらなかったり、泡立てすぎたクリームを加えるとツヤのないババロアになってしまうため、最近は泡立てずにそのままクリームを混ぜる傾向にあります。

「ムース」と「ババロア」は、職人が時代に合わせて自分の味を作ろうと日々レシピを変化させてきているため、現在ははっきりとした違いはなく、作り手の考えで分けられることが多いです。

■使用するクリームについて

フルーツを使う場合は低脂肪のクリームが向いています。カスタード風味など卵を使う場合には高脂肪のクリームでも良いでしょう。また、コーヒーや紅茶の場合も高脂肪のクリームを使うと美味しくできますが、その際コーヒーや紅茶の味を濃いめに出すことがポイントです。

●基本的なムースの作り方

≪いちごムースとヨーグルトゼリーの2層デザート≫

(材料)カップ10個分

〈いちごムース〉

200g
いちごピューレ
50g
グラニュー糖
7g
粉ゼラチン
35cc

〈ヨーグルトゼリー〉

50g
グラニュー糖
7.5g
粉ゼラチン

〈飾り用〉

各適宜
いちご、クリーム、ミントの葉

いちごピューレの作り方

市販の冷凍ピューレが手に入らない場合は、次の方法でピューレを作りましょう。

○冷凍いちごの場合:いちごをシャーベット状まで解凍して裏ごす。
 (完全に解凍してから裏ごすと色落ちしてしまいます)
○生の場合:ヘタをとったいちごを裏ごし200gに計量し、グラニュー糖20gを加える。
 生を使う場合は完熟で、赤色が強く出る小粒サイズのものを選びましょう。

(作り方)

①. 粉ゼラチンは5倍量の水でふやかしておく。
②. ボウルにヨーグルトと3/4量のグラニュー糖を加えて混ぜる。
☆ポイント
ヨーグルトに糖分を混ぜておくと、クリームを加えた時にクリームが酸と反応して分離するのを防ぎます。
③. 鍋に牛乳と残りのグラニュー糖を入れて火にかけ80℃まで温め、①のゼラチンをレンジにかけて溶かしたものと混ぜる。
☆ポイント
ゼラチンは糖分が入った液体と合わせた方がなめらかに混ざるので、牛乳にグラニュー糖を加えて温めます。
④. ③を②に加えて混ぜ、さらにクリームを加えて混ぜる。
☆ポイント
冷たい液体を加えるとすぐ固まってしまうので気をつけましょう。
もし固まり始めてしまったら、ボウルの底を少し温めて、作業しやすい固さに調節しましょう。
⑤. ④をカップの半分の高さまで注ぎ入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
☆ポイント
透明カップに注ぐ場合、側面を汚さないように気をつけながら注ぎ入れましょう。注ぎたい分量がぴったり入る容器を使ってそれぞれの透明カップに注ぎ入れると毎回はかりで計量する手間もなく同じ分量を注ぎ入れることができます。

●いちごムースを作る。

①. 粉ゼラチンは分量の水に振り入れてふやかしておく。
②. いちごピューレに2/3量のグラニュー糖を加えて混ぜる。
③. 残りのグラニュー糖は①に加え、レンジにかけて溶かし、②に加え混ぜる。
④. ボウルにクリームを入れ、ボウルの底を氷水に当てて冷やしながら7分立て(絞れる少し手前)まで泡立てる。氷水をはずして冷蔵庫に入れ、少し落ち着かせる。
⑤. ④に③を2~3回に分けて混ぜながら加えていく。
☆ポイント
ピューレを加えた時に一気に固まってしまうのを防ぐため、ピューレの温度は室温位の状態で加えましょう。固まってしまった場合は少し温めても良いですが、出来上がり量が減り、風味も落ちてしまい ますので注意しましょう。
⑥. 固まったヨーグルトゼリーの上に注ぎ入れ、冷やし固める。
⑦. ホイップしたクリーム、いちご、溶けない粉糖で飾りつける。

●基本的なババロアの作り方

≪オレンジババロア≫

(材料)カップ10個分

200ml
オレンジジュース(果汁100%)
60g
グラニュー糖
40g
卵黄
5g
粉ゼラチン
5cc
レモン汁
2個分
オレンジ

〈飾り用〉

各適宜
オレンジ、クリーム、ミントの葉
オレンジの代わりにグレープフルーツ、マンゴー、巨峰等もオススメです。
いちご・フランボワーズを除いたベリー類はミキサーにかけすぎると風味が落ちるので10%の砂糖を混ぜて軽くつぶして常温で一晩置きミキサーでジュースにすると色落ちもなく美味しいジュースが作れます。

(作り方)

①. 粉ゼラチンは5倍量の水でふやかしておく。
②. オレンジは上下を切り落として皮をむき、薄皮と果実の間にナイフを中心まで入れて、果肉を取り出す。果肉を半分にスライスし、型のサイズに合わせて切って並べ、冷蔵庫で冷やしておく。
③. ボウルにグラニュー糖とグラニュー糖が溶ける程度のオレンジジュースを加えてすり混ぜ、完全に溶かす。
④. ③に卵黄を加えてすり混ぜ、さらに残りのオレンジジュースを少しずつ加えてのばしていく。
⑤. ④をボウルごと弱火にかけ、混ぜながら煮る。表面の泡が消え、ゴムベラで混ぜた時にボウルの底が見えるくらい(72℃)になるまで煮つめる。
⑥. ⑤にゼラチンを加え溶かし、裏ごしてレモン汁を加え、ボウルの底を氷水にあてて粗熱がとれるまで混ぜながら冷やす。
☆ポイント
冷やしすぎると固まってしまうので、注意しましょう。
⑦. ボウルにクリームを入れ、ボウルの底を氷水にあてて冷やしながら5分立て(とろみが出る程度)に泡立てる。
⑧. ⑥を⑦に5~6回に分けて加え混ぜる。
☆ポイント
オレンジジュースがボウルの底にたまりやすいので、しっかり混ぜ合わせましょう。
⑨. ②の冷やしておいた型に⑧を流す。
⑩. 型のサイズにくり抜いた市販スポンジの片面に、刷毛でオレンジジュースをしみこませ、その面を下にしてババロアの上にのせて軽く押える。冷蔵庫で冷やし固める。
⑪. 完全に固まったらぬるま湯に型ごとさっと浸しあたため、まわりを少し溶かす。ババロアのふちを指で軽く押して型との間に隙間を作って型から外し、皿にのせる。
⑫. ババロアにオレンジとホイップしたクリームを飾り、さらにホイップしたクリームに液状のクリームを加えてソース状にしたものをかけて仕上げる。